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2007.02.28 小可愛って何?
このブログのPROFILE欄に書かれている【小可愛】という名前。
一応これをユーザーネームにしているのですが、「自分の名前に可愛いって・・・」というツッコミを入れられそうなことは重々承知しております(笑)。
*続きを読む*
この名前、イタズラなkissの台湾版ドラマ「惡作劇之吻」で入江家(台湾版は江家だけど)が買っている犬の名前なんです。
マンガでは「チビ」と命名されて犬種もセントバーナードなんですが、台湾版ではオールド・イングリッシュ・シープドッグ。
そして、一応日本語字幕では「チビ」と呼ばれていますが、中国語字幕では「小可愛」ってなってるんです。意味は「チビ」と同じで、漢字のごとく「小さくかわいい」って意味だそうです。
読み方は「xiăo kĕ ai」。でも私の耳にはいつも「しゃおくぁーい」もしくは「しゃおかーい」って聞こえています

実際私はチビな方なのでこの名前にしてみました。
イタkissのチビは名前に反してどんどん大きくなっちゃったけど、私は縮むことはあってももう伸びることはないと思います。大きくなりたかった願望もこめてこの名前にしたのが由来です。

最近イタkiss→惡作劇之吻のおかげで台湾や中国語にも興味を持ち始めました
すっかり記憶メモリの少なくなってきてる私の頭ではなかなか覚えることが難しいのですが、まずは「習うより馴れろ!」ということで沢山の台湾や中国語のものに触れていきたいと思っています。
もう3月なので・・・4月からは某公共放送(笑)の中国語会話も見てみようと意気込んでいます。
でも、3/5の「中国語会話」に入江君を演じる鄭元暢(以下;小綜)が出るからそれは見ようって思っています。
惡作劇之吻&小綜ファンの方もお忘れなく
2007.02.28 裕樹の決心 15
突然、いつも平和な僕んちを2つの衝撃が襲った。

ある日大学から戻ってきたお兄ちゃんがまたパパに呼ばれた。
パパの形相からして何か深刻な問題が起こったことを察知したママと僕とあいつは、2人が座っているリビングのガラスのドアに張り付いていた。

その数分後、僕達の日常が一変した。
*続きを読む*
「この4月から医学部に編入したんだ。」
「な、なにぃ?」
いつもニコニコしてるパパの、こんな大きな声を聞くのは初めてだった。
「おれは医者になる。親父の会社は継がない。」
お兄ちゃんの言葉は放った矢のようにパパに直撃した。
少しの不安はあったものの、いつかはお兄ちゃんが自分のあとを立派に継いでくれると思っていたパパが受けたショックは相当のものだったんだ。

−そしてパパが倒れた−

この4月、パパとアイちゃんおじさんは人間ドックに行っていた。
その結果を見たお兄ちゃんがお医者さんのようにパパの心臓のことを指摘してたっけ。

パパが倒れて、ママと僕はビックリしてオロオロしていた。
そんな中お兄ちゃんは、救急車が到着するまでの時間に出来る限りのことをするよう僕達にテキパキと指示を出していた。
あいつは動揺して動けないママの代わりにしっかりお兄ちゃんの指示に従っていた。僕が倒れた時から数段強くなっていた。

救急車で運ばれていくパパを見て、僕は泣くことしかできなかったけど、お兄ちゃんとあいつはとても気丈で、お互いを励まし合ってるかのようだった。

僕はこれから一体どうなるのか、パパがどうなっちゃうのか不安で怖くてずっと泣いていた。
あいつはそんな僕を抱きしめて「大丈夫だよ」とずっと背中を撫でていてくれた。
そうされると心強くて少し落ち着いてきて・・・そして僕はそのまま眠ってしまった。

パパの病気は【狭心症】だった。お兄ちゃんの言ったとおり心臓の病気だ。
絶対安静を言い渡されたパパはしばらく入院することになった。

パパが倒れたことに責任を感じたのか、お兄ちゃんはパパの代わりに再びパンダイの仕事を手伝うことにしたらしい。
しばらくの間は僕達の生活も変わってしまうだろう。
パパにつきそってるママの代わりはあいつと僕、そしてパパの代わりはお兄ちゃん。
僕も家族の一員として頑張ろうって心に誓った。

僕は僕の担当であるチビの散歩をこなしながらふと考えた。

お兄ちゃんは医者になりたかったんだ。でも、一体いつから?
そういえばあいつが急に【家庭の医学】や【マメ医学】なんて本を引っ張り出して読むようになったのは今年に入って直ぐのことだったっけ。
4月に医学部に編入したってことを、同じ大学のあいつが知っていたとしても不思議じゃない。
でもそれ以前にあいつがおバカなくせに医学に触れてたってことは・・・もっと前に知ってたんだ!。
お兄ちゃんは家族の誰も知らない自分の夢をあいつには話していたんだ。(僕達って似たもの兄弟かも!)
そしてそのことは2人だけの秘密だったんだ。

僕が思っていた以上にお兄ちゃんにとってあいつは特別な存在なんだ。
鈍感なあいつは気づいてないだろうけど。

つづく裕樹の決心 16
2007.02.27 裕樹の決心 14
お兄ちゃんも帰ってきたし、日差しも暖かくなってきたし、僕は相変わらずあいつをからかいながら毎日楽しく暮らしていた。
そんな僕もいよいよ6年生。
小学校で一番上の学年になった。
6年生にもなると将来の夢ってものを頭の中で描いておく時期らしい。
その日の宿題は【将来の夢】という作文を原稿用紙2枚半以上書いてくることだった。
*続きを読む*
普通の6年生はまだ野球選手とか総理大臣とかお嫁さんになりたいなんて現実味のない夢について書くんだろうけど、僕は違う!。
もうずーっと前から立派な夢があるんだ。
だって一番近いところに最も尊敬する人と目指す場所があるんだから!。

「僕は将来お兄ちゃんみたいになりたい」
スラスラと原稿用紙にえんぴつを走らせてると、書いた文を読み上げるあいつの声が僕の後ろで聞こえた。
「!!
飲み物を持ってきたついでに盗み見したんだ!何て事を!
僕だけの秘密を知られたような気がして、恥ずかしさのあまりかなり動揺した。
「天才のお兄ちゃんにできないものなど何一つない」
そんな僕の事なんておかまいなしに、あいつは原稿用紙を取り上げて面白がって読み上げ続けた。
「こらー、返せ、バカ琴子!」
必死で原稿用紙を取り戻そうと頑張ってる時、あいつの動きがふと止まった。
「裕樹くん、お父さんの会社継ぐんだ」
フン、そーだよ!
「なんで社長になんないのよ」
あいつはとーっても愚問を僕にぶつけてきた。

僕は社長のお兄ちゃんのお手伝いをするんだ!そして2人で立派なパンダイにするんだ!
だから社長はお兄ちゃん。僕は副社長。簡単なことだ。おバカなおまえには察しがつかなかっただろうけど!

僕は今までコツコツ書きためてきたアイディアコンテの数々をあいつに披露してやった。
僕のお絵かき帳はあいつの観察日記を書くためだけにあるわけじゃないんだ!
お兄ちゃんが社長としてアイディアが行き詰まった時はすかさず僕がフォローできるよう、今から準備ってものをしてるんだ!。
準備はどれだけ早いうちからはじめても早すぎるって事はないからねっ。

あいつは僕の夢と行動にとっても感心していた。
僕もやっとお兄ちゃんへの尊敬の念と「すき」っていう概念をあいつに教えてやることができて満足だった。
と、自分がとても喋りすぎていることに気が付いた僕はまた恥ずかしさがぶり返してきて、思わずあいつを強引に部屋から追い出してしまった。

閉めたドアにもたれかかったまま僕は少し考えた。
お兄ちゃんにしか見せることはないと思っていた秘密のアイディア帳をどうしてあいつに見せちゃったんだろう?
どうして僕の夢をベラベラ喋っちゃったんだろう?
あいつが僕の夢を1番最初に知る人間になるだなんて・・・。不覚だ・・・。

ん?落ち込んでる場合じゃない。早く仕上げてチビの散歩に行かなくっちゃ。
僕はこう書いてえんぴつを置いた。

「今僕のこの夢を知っている人物が1人だけいる。突発的な事故で知られてしまったんだ。でも知られてしまった以上、将来その人の前に夢を叶えた姿をちゃんと見せること。これも、僕の将来の夢の1つに追加しておこうと思う。」

つづく裕樹の決心 15
2007.02.26 裕樹の決心 13
あの爆弾発言以降、発言の真相を知りたがってるママの執拗な尋問攻撃が僕を容赦なく襲ってくる。
時にはおやつでつりながら、時には力ずくで。
でもまだ言えないんだ。言うわけにはいかないんだ。
こうなったら僕とママの根比べだ。
正直あのママ相手にいつまでこの攻撃に耐えられるか僕も少し自信がない。
今日も僕の部屋のドアはさっきからママにノックされっぱなしだ。
*続きを読む*
あの日お兄ちゃんを追っかけていったあいつは、出て行った時とは打って変わって少しうれしそうな顔をして戻ってきた。
「おばさん、入江君きっと大丈夫ですよ!」
ママの手をとってそれだけ言って、まだテーブルの上に沢山残ってた料理を片付けはじめた。
あいつはお兄ちゃんが【大丈夫じゃない状態】から脱した姿を確認してきたに違いないんだ。

そしてあの日からあいつの様子が変なんだ。(まあ、いつも変なんだけど。)
ヒマさえあればママから借りた【家庭の医学】なんて大きな本を開いてはブツブツ言ってる。(病気なのはあいつの頭の中なのに・・・プププププ。)
家で誰かが「痛い」って言葉を発した途端、あいつは救急箱をかかえて飛んでくるんだ。
この間なんてちょっと指を怪我しただけなのに、僕の指は包帯でぐるぐる巻きにされてアメリカンドッグみたいにされちゃったんだ。
ほんと何やっても鈍くさいヤツ!

今年もバレンタインの時期がやってきた。
あいつがママに習いながらぶさいくなマフラーを編み始めた。毎年毎年ご苦労なことだと思う。
そして毎年毎年標的にされてるお兄ちゃんもご苦労なことだと思う。

バレンタインの日僕が学校から戻ると、家に沢山の段ボール箱が届いていた。
「ママー、これ何?」と聞いた僕に
「よぉ、久しぶり」と山積みにされた段ボールの陰からお兄ちゃんが顔を出した。
「今日からまたここで暮らすからよろしくな!」
僕の頭を軽くポンポンと叩いて、お兄ちゃんは荷物の片付けに戻った。

お兄ちゃんが帰ってきたんだ!!

僕はうれしくてお兄ちゃんのお片づけを手伝ってあげようと思って急いで制服を着替えてた。
(あれ?あいつ今日チョコレートと不細工なマフラー渡しに行くって張り切ってなかったっけ?)
着がえながら今朝のあいつの様子を思い出していた。

「お兄ちゃん、今日琴子と会った?」
お兄ちゃんのCDを棚に並べながら僕は聞いた。
「いや。会ってない」
「今日帰ってくること知ってる?」
「さあ?誰も知らないと思うけど。おふくろも驚いてたからな」
(まったく、お兄ちゃんはここにいるって言うのにあいつは何やってんだよ)

宿題が終わっても、夕食が終わっても、お風呂から出てきても、あいつは戻ってこない。
本当に間の悪い星の下に生まれたヤツだ。あいつのことだからきっと今も何処かで空回りしてるんだ。
リビングの壁掛け時計を見た。もう11時だ。ふとソファの隣でテレビを見てるお兄ちゃんを見たら、お兄ちゃんもチラッと腕時計を見てた。
「あいつ遅いね、お兄ちゃん」
「裕樹、もう11時だぞ、明日起きられなくなるからもう寝ろよ。俺、風呂入る」
僕の言葉に相づちも打たずお兄ちゃんは席を立った。
リビングに1人残された僕は丁度睡魔も襲ってきていたので部屋に戻ってベッドに潜り込んだ。

翌朝スゴイ爆音をたてて階段を下りてくる音がした。あの落ち着きのない音はあいつに違いない。
ったく何だよ、朝から騒々しいなっ!思わず振り返ってニラんでやった。
あいつはキッチンの入り口で部屋中を見渡して、呆然→がっくりと分かりやすいリアクションをとった。
僕はその行動が理解できなかったけど、いつものことだから放っておこうと気を取り直したその時、
「おい、早く入れよ」
というお兄ちゃんの声が聞こえた。
と、同時に「い、入江くんっ!!夢じゃない、本当にいた!」とあいつのデカイ声が響いてお兄ちゃんがゆさゆさ揺られてた。

僕もお兄ちゃんが帰ってきてすごくうれしかったけど、あいつの喜びはもしかしたら僕の上をいってるのかもしれない。
まるで飼い主の帰宅にシッポをちぎれんばかりに振ってまとわりついてる子犬みたい!。
お兄ちゃんがうちを出て行ったあの日以来、初めてみるとびきりの笑顔でお兄ちゃんを見ていた。
しょうがない、今日1日はあいつにお兄ちゃんを少し譲ってあげようかな。お兄ちゃんは少し呆れ顔だったけど、決して迷惑そうな顔じゃなかったし。

僕は「日直だから」と嘘をついて、わざとらしく出かけるママと一緒に家を出た。

今日だけは2人っきりの朝食にさせてあげるよっ。特別だからなっ!
昨日失敗した分取り返せよっ!

つづく裕樹の決心 14
2007.02.25 裕樹の決心 12
アイちゃんおじさん達と暮らし初めて3回目のお正月がやってきた。
あいつはみんなと出かけた初詣で今年も熱心にお願い事をしていた。たった100円のお賽銭のクセに図々しいヤツだ。
何を願ってるかはお見通しだ。僕の一生分のお小遣いかけたっていいくらい自信があるよ。
だってあいつの脳みそは切っても切ってもお兄ちゃんのことしかでてこないはずだから。
*続きを読む*
お正月だっていうのにお兄ちゃんは家にちょっと顔を出してマンションに帰ってしまった。今年は百人一首で一人勝ちする姿すらみれなかったんだ。
おみくじ【大凶】だったから落ち込んでるのかなぁ?
【大吉】をひいたうえに【待ち人来たる・縁談よろしい】だったあいつもお兄ちゃんが帰ったのを知った途端【大凶】引いたかのような顔になってた。
でも、成人式でまたすぐ帰ってくるって知って立ち直ってたけど。

「馬子にも衣装・・・」
晴れ着を着たあいつを見て、僕はおもわずつぶやいてしまった。
アイちゃんおじさんに買って貰った振り袖を着たあいつはまるでお人形のようにキレイだった。アイちゃんおじさんなんてその姿を見て涙まで流してた。
今日、お兄ちゃんとあいつは成人式なんだ。
お兄ちゃんもあいつと一緒に行くのを嫌がる素振りもなく成人式に出かけていった。
スーツ姿のお兄ちゃんと振り袖を着たあいつ。子供の僕には手の届かない世界に行かれてしまったような気がした。

パーティー好きのママは当たり前のように2人の成人式を祝うパーティーを開いた。
なのにお兄ちゃんは乾杯だけしてすぐマンションに帰ろうとした。
最近お兄ちゃんは1人になりたがる。何か1人で考えたいことでもあるのかなぁ?

そんなお兄ちゃんをパパが呼び止めて書斎に呼んだ。
パパが改めてお兄ちゃんを書斎に呼ぶ事なんて今までなかったから、一体何事かとママ・あいつ・僕は書斎のドアの隙間からのぞき見をすることにした。

パパの話はお兄ちゃんの将来のことについてだった。
パパはお兄ちゃんに会社をついでもらいたいらしい。だからお兄ちゃんの考えを聞きたかったみたいだ。
いつもはパパにたてついたりしないお兄ちゃんなのに、この日はやけにパパに突っかかっていた。
お兄ちゃんの将来のことをパパやママが勝手に決めてるって言うんだ。仕事も恋愛も自由にさせてもらえないって。かなり本気で怒ってた。
「だからおれは家に戻って来たくないんだ。こんな束縛される家!」
この一言に、途中からパパに加勢してたママが思わずお兄ちゃんのほっぺたをぶった。

ママが人をぶつのを僕は生まれて初めて見たから、かなりの衝撃を受けた。
お兄ちゃんもきっと初めてぶたれたんだと思う。コートも着ないで家を飛び出して行っちゃったんだ。
でも、あいつがすぐコートを持って追っかけたから、きっとお兄ちゃんは大丈夫。大丈夫じゃない状態のお兄ちゃんのを残して戻ってこれるあいつじゃないから。

大丈夫じゃないのは・・・。
ぶった側のママだ。あれからずっとパパの胸の中で泣き崩れている。
お兄ちゃんをぶったこともショックだったし、自分がいままでしてきたこと・・・お兄ちゃんとあいつをひっつけようとしたことが結局2人を傷つけることになったと大泣きしてるんだ。
僕は、自分を責めて泣き崩れてるママが可哀想になった。それにママは少し思い違いをしてる。だってお兄ちゃんは・・・。
僕はこれだけはママに伝えておいてあげようと、パパの書斎のドアを大きく開けた。

「好きだよ。お兄ちゃんは琴子のこと好きなんだ。だから泣かなくていーよ、ママ。」

つづく裕樹の決心 13
2007.02.24 裕樹の決心 11
【天空神ゴッドペガサス】はクリスマスの頃には生産が追いつかないほどの大ヒット商品となっていた。
今までの超合金合体ロボットと違って、ペガサスの形をしたそれは僕の目から見ても格好良かった。もちろん僕の今年のクリスマスプレゼントはこれで決まりだ!。
*続きを読む*
クリスマスイブの日、僕達はパパの会社のパーティーにお呼ばれしていた。なんでも【天空神ゴッドペガサス】が好評で、会社のえらい人達がお兄ちゃんに会いたくて強引に招待してたんだ。
普段の行いの悪いあいつは先に友達との約束を入れちゃったからパーティーに参加できず落ち込んでいた。
今日はお兄ちゃんを独り占めできる!
僕は心の中でガッツポーズをした。

正装したお兄ちゃんを見たあいつは口は開きっぱなしで目がハートになってた。ほんとわかりやすいヤツ!
今日来れないこと死ぬほど悔しがってるんだろうなー。
お兄ちゃんはパーティーにいけないあいつをからかってたけど、時間が迫っていたので僕達は急いで家をでた。

パーティーは盛大で、バイキングの料理も豪華で(チビも連れてきてあげたかったよ!)僕は「パーティーもいいもんだな〜」なんて思ってた。
お兄ちゃんはパパに連れられていろんな人と挨拶を交わしてた。お兄ちゃんを連れてるパパはなんか誇らしそうだったよ。僕ももちろんそんなお兄ちゃんが誇らしいんだ!
でも、パパの知り合いからかなり女の人を紹介されてた気がする。こんな現場にあいつがいたら一騒動起こってるかもね。今夜は来なくて正解だな。

僕がデザートのケーキをお皿に盛ってる時、お兄ちゃんがやって来て耳元でこう言ったんだ。
「裕樹、俺もう行くから。お袋達に何か聞かれたら適当に返事しておいて。あんまり食べ過ぎるなよっ!」
「えっ?」振り返った時にはお兄ちゃんはもう出口の扉に手をかけてて・・・そして会場から出て行った。
(お兄ちゃん何か約束でもあったのかな?)

その後、パパとママは黙って消えたお兄ちゃんのことかなり怒ってた。
わかってないなー、2人とも。
あんなお見合いの場みたいになった場所にお兄ちゃんが大人しくいるわけないじゃないかっ!
でもお兄ちゃん一体どこに消えちゃったんだろう?

家に帰ると玄関には出かけるときと同じ場所にあいつの靴が置かれていた。
靴が出しっぱなしなんて珍しい。いつも帰ってきたらすぐ靴箱にいれるのに。
ひょっとして出かけなかったの?

僕達が帰ってきたとき、お兄ちゃんの姿はなくあいつとチビが寄り添うようにソファーで眠ってた。
薄暗い中クリスマスツリーのイルミネーションに照らされたあいつは幸せなマッチ売りの少女みたいだった。
テーブルの上には生クリームがついた小さなサンタと柊の飾りが転がって、食べかけのフライドチキンのBOXが置かれていた。
「あら、琴子ちゃんクリスマスケーキ持って帰ってきたのかしら?」冷蔵庫をのぞいていたママの声が聞こえた。

ママは気が付いたかな?
キッチンの水切りにケーキー皿とフォーク、そしてあいつとお兄ちゃんのマグカップが洗ってふせてあったこと。

今夜あいつの元には目がハートになるくらいかっこいいタキシード姿のサンタクロースがやってきたんだ。

でも、どうしてあいつが出かけてないことお兄ちゃんは知ってたんだろう?
僕はその晩遅くまで眠れなかった。

つづく裕樹の決心 12
2007.02.23 裕樹の決心 10
夏が過ぎてあいつの20歳の誕生日、僕はおもちゃの真珠のブレスレットをプレゼントした。
「豚に真珠」。
僕って誰かさんと違ってプレゼントを選ぶセンスが抜群でしょ!
*続きを読む*
お兄ちゃんはもう誕生パーティーが終わるって頃家に帰ってきて、「2人っきりじゃないとあげられない」っていうプレゼントを渡しに2人であいつの部屋に行っちゃったんだ。
僕達はドアの前に張り付いて2人の様子に聞き耳をたてたけど、部屋からは何も聞こえてこなかった。
お兄ちゃんからのプレゼントって一体何だったんだろう?ママやあいつのおバカな友達連中はキャーキャー騒いでたけど・・・。
それから3日ほどお兄ちゃんは家に泊まって、夜になるとあいつの部屋に消えていった。

最近のお兄ちゃんは僕に秘密が多すぎる。
清里以来、僕はお兄ちゃんにあいつとのことを聞けないでいた。なんだか聞いちゃいけないような気がして。

暫くしてまたお兄ちゃんが家に帰ってきた。
朝僕がキッチンに降りていくと、ネクタイを締めたお兄ちゃんが朝食を食べていた。横では小綺麗な格好をして浮かれたあいつがやたらとお兄ちゃんにコーヒーのおかわりをすすめてた。

今日から2人はパパの仕事のお手伝いに行くんだって!
いつのまにそんな話に・・・!!
大人は夜中に話を進めるからキライだ!あいつが行くぐらいなら僕の方が遙かに使えるのに!
でも、会社でドジをしてまたお兄ちゃんに怒られてるあいつの姿を想像したら・・・ぷぷぷ、今浮かれてるけど調子に乗ってるとお兄ちゃんにガツンとやられるんだからな!覚悟しておけよ!

それから毎日3人一緒に出社して、3人バラバラに戻ってくるという日々が続いていた。

「おい裕樹、何かいいことでもあったの?朝からずっと歌ってるけど。」ふだん冷静な僕が歌なんか歌ってるから、お友達のトシ君が不思議がってそうきいてきた。
「べ、べつに何でもないよ。トシくん、早く理科室行こう!チャイム鳴っちゃうよ!」
僕は知らない間に歌を歌ってたみたいだ。よりによって「ゴッドレンジャー」なんて幼稚な歌を!。恥ずかしさでかーっと全身が熱くなっていくのがわかった。
バカ琴子のせいだ!パパの会社に行きだしてからというもの、あいつが毎日「ゴッドレンジャー」の歌を繰り返し繰り返し家のどこででも大きな声で歌ってるんだ!そのせいですっかり僕にも移っちゃったじゃないか!
フン、どーせあいつは会社でも仕事もしないで鼻歌ばっかり歌ってるんだ!パパもママもあいつに甘すぎるよ!

でもあいつはちゃんと会社に貢献してきたんだ。
お兄ちゃんとあいつが一緒に早く会社から帰ってきた日、パパがみんなに言った。
「2人は明日から元の生活にもどりなさい。直樹と琴子ちゃんが考案してくれた【天空神ゴッドペガサス】の企画の手応えがよくてね。会社はなんとかなりそうだよ。1週間どうもありがとう。」
「まぁ、ステキ!お兄ちゃんと琴子ちゃんの共同作業が実を結ぶの?」ママが手を組んでうっとりしてた。
「ああ、こいつが発案者で俺が形にしてみた。大学生のくせに小学生レベルの発想だから斬新でとっても参考になったよ。」
「ちょっと入江君、それ褒めてる?けなしてる?」あいつが可愛くお兄ちゃんをニラんだ。
「両方」。ニッと笑ってお兄ちゃんは自分の部屋に行ってしまった。

小学生レベルなら、僕がそのまま小学生なのに!
お兄ちゃんとの共同作業は僕が先にやりたかったことなのに!
パパにもママにも、そしてお兄ちゃんにも喜んでもらえれてたあいつがちょっと羨ましかった。

「チビ、最近お兄ちゃんはあいつと一緒の時間の方が多いと思わない?」
僕はこっそりチビに愚痴っていた。チビは僕の顔を舐めて慰めてくれた。

この1週間でお兄ちゃんとあいつの距離が更に近づいた気がしたのもつかの間、翌日お兄ちゃんは自分のマンションに帰っていった。

つづく裕樹の決心 11
2007.02.22 裕樹の決心 9
お兄ちゃんは頭の悪い女が嫌い。
僕はずっとそう思ってた。
その年の夏、清里に遊びに行くまでは。
*続きを読む*
ある日ファミレスのバイトから大急ぎで戻ってきたあいつはママにその日仕入れてきたお兄ちゃんの秘密を打ち明けたんだ。
その秘密って言うのが、お兄ちゃんが夏の間泊まり込みでしてるバイト先のこと。
夏の間お兄ちゃんはファミレスのバイトを休んで、清里のペンションでバイトするらしい。情報源がそのペンションの経営者の甥・須藤さん(この人もあんまりお利口じゃないんだ)だから本当のことだと思う。

それを聞いたママはみんなをリビングに集めて清里行きを声高らかに宣言した。
ママとあいつがタッグを組んだら、誰も止めることができないんだ。例えパンダイ社長のパパでも、天才予備軍の僕でもね。

突然ペンションに押しかけた僕達にお兄ちゃんは頭を抱えてたけど、でも僕とチビのことは大歓迎してくれたんだ。フフン、僕とチビはお兄ちゃんにとって特別な存在なんだ!

あいつにバイト先情報を漏らした容疑者・須藤さんにお兄ちゃんが詰め寄ってると、ケバイ女子2人+ケバイ犬が乗ったケバイ車がペンションに横付けされたんだ。
見覚えのある顔・・・僕が入院してる時なぜかお見舞いにやってきたケバイ姉妹・松本姉妹だった。2人一緒だとやっぱり迫力がある。
ケバイ姉妹は挨拶だけして自分たちの別荘に行っちゃったけど、どうせこの2人の目的もバカンスなんかじゃなくってお兄ちゃんなんだ。
思わぬライバルの出現に今度はあいつが須藤さんに詰め寄ってた。
たじたじになってる須藤さんを横目で見ながら、僕はああいう口が軽くて調子のいい大人にだけはならないって誓ったんだ。

その晩、斗南大の女子だけじゃなくてペンションに泊まってるお客さんまでお兄ちゃんを狙ってるっていう現場を僕とあいつは目撃したんだ。
布の面積がとーっても少ない服を着たお姉さんがお兄ちゃんのこと熱心に誘ってたんだけど、「せっそうのない女は大っきらい!」って全く相手にもしないんだ!
その姿をドアの隙間から見てた僕とあいつは思わず拍手しちゃったよ。ほんと、お兄ちゃんってかっこいいんだ!あいつは「さすが冷血入江君」って変な感動の仕方してたけど。

言い寄ってくるお姉さんは全く相手にしないけど、「バイトのお兄さん」呼ばわりするママやトランプに誘う僕達の誘いにお兄ちゃんはしぶしぶ乗ってくれた。
やっぱり家族みんなが1部屋に揃うっていいなー。これこそバカンスだよっ!
その晩のトランプは当然お兄ちゃんの一人勝ちだったけど、とーっても楽しかったよ。

翌日のランチはケバイ姉妹に誘われてペンション近くのレストランに行ったんだ。
驚くことにここにはあのおバカの金之助がいたんだ!アイちゃんおじさんが口をすべらしたばっかりに、おじさんのお店が夏のお休みの間ここで働くことにしたらしい。金之助もエネルギーを無駄遣いする男だなー。こんな所で働くより、お兄ちゃん達3人が抜けて大変なファミレスに行くべきだよ!
どうりて昨日からアイちゃんおじさんの様子がおかしいと思った。少しだけアイちゃんおじさんが須藤さんと同じ人種に見えた・・・。

ある日の午後、僕はあみとカゴを持ってペンションの近くの林にセミを取りに出かけた。ほんとはお兄ちゃんと一緒に行きたかったけど、お仕事中だから1人で行ったんだ。
そこで、大きな木陰に座って気持ちよさそうに眠ってるあいつを見つけたんだ。
セミを捕まえてあいつの顔の前につるして驚かしてやろうって思いついて、別の木の陰から辺りを見回した時、荷物を持って通りかかるお兄ちゃんを見つけたんだ。

(お兄ちゃんもイタズラに誘おう)そう思って呼び止めようと踏み出した僕の足が止まった。

!!

お兄ちゃんが目の前を通り過ぎても、夢を見てたあいつが目を覚ましても、僕は木の陰から出ることができなかった。
お兄ちゃんと僕だけの秘密の出来事が起こったから。
僕の心臓のドキドキが止まらなくて足がすくんでいたから。

この夏、僕の「お兄ちゃん神話」は崩れた。僕がうすうす感じてたことが現実になったんだ。

お兄ちゃんは頭の悪い女が・・・嫌いじゃないんだ

僕は口が軽くて調子のいい大人にならないって誓いをたてたから、この男同士の秘密は守るよ。
そして今日までその誓いはちゃんと守られてる。

つづく裕樹の決心 10
2007.02.22 創作裏話

イタkiss二次小説・裕樹Verにお付き合い下さってどうもありがとうございます。
ここ連日裕樹のお話をupしているのですが、少し裏話も書いてみようかと思います。

*続きを読む*
イタKissに最初に出会ったのは、当時タイムリーに連載されていた別冊マーガレットでした。
かっこいい入江君とかわいい琴子が大好きで毎月楽しく読んでいたのですが、丁度私の人生の転換期がやってきた頃、なぜか別マ購読を止めてしまったのです。

その後、時間の経過とともにイタKissの存在も忘れかけていたのですが、2002年の日韓ワールドカップの年、再び彼等に出逢う日がやってきました
当時同じ職場だった友達がマンガ好きで、イタKissを全巻持っていることが発覚。
その時、作者の多田かおる先生が執筆途中に亡くなったこと、だから完結しないまま終了してしまったことを知りました。
あまりの展開にものすごく驚いたけど、連日数冊づつ持ってきてくれるマンガをドキドキワクワクウルウルしながら読破しました。
やっぱりイタKiss最高!ってイタkissワールドにどっぷりはまったのですが・・・また再び時間だけが流れて−。

去年の11月、BSでイタKissの台湾版「惡作劇之吻」が放送されていることに気が付いたのです。
最初の方は見逃してしまっていて、途中からの視聴になったんだけど、鄭元暢(ジョセフ・チェン)演じる入江君と林依晨(アリエル・リン)演じる琴子がマンガのキャラとそっくりなことにとても驚きつつ感動!。
ストーリーもマンガにかなり忠実だったし、出演者もみんな魅力的だったのであっという間に嵌ってしまい、言葉も分からないのにDVDを購入。
そして今回はついにマンガ(文庫版)も大人買い
「惡作劇之吻」って台詞もかなりイタKissに忠実だから2つ合わせれば相乗効果で楽しめるのです!

何回もマンガを読んでいるうちに、ふと「裕樹くんって私と視点が似てるかも!」って思ったんです。
主人公当事者ではなく、入江君のことも琴子のことも好きで第三者として2人のことを見守ってる。
それに私も琴子のことは大好きだけど、実際側にあんな猪突猛進女子がいたら実は鬱陶しく感じたりもするんじゃないかと。
そこで裕樹君視点で書いたらどうなるんだろーって思ったのがきっかけです

でも実際マンガになるべく忠実に書いてみると・・・。
裕樹君って入江君と琴子の接近シーンをあんまり目撃してないんですよねー。
学校やファミレスやパンダイでの出来事は全然目撃してないんです。
これって新たな発見でした

これじゃー裕樹君は2人の進展にあんまり関われないじゃないっ!!
ってことで、私の書いてる裕樹くんはやけに入江君や琴子やママの会話に聞き耳立ててるヤツになってしまっていますがご了承くださいませ。

裕樹版の二次小説、まだもう少し続きますが気長にお付き合い下さいね!
2007.02.21 裕樹の決心 8
退院した日、僕は勇気を出してあいつに「ありがと」を言うことができた。
あいつは単純だからとーっても浮かれてた。
そんなあいつを更に浮かれさす出来事が起こったんだ。

中川武人
同じ大学のあいつより1つ年下の物好きな男が、あいつに告白してきたんだ。
*続きを読む*
それを知ったママは大慌て。大学にまでその「中川武人」を偵察に行く始末。
戻ってきたママが「お兄ちゃんよりキュートだったのよぉー。私が琴子ちゃんにいいアイディアを提案してきたけど、でも心配だわぁー」ってパパに報告してるの、僕聞いちゃったんだ。
そういえばあいつ斗南大のミスにも選ばれてたし、金之助はあいかわらずつきまとってるみたいだし・・・案外モテるのかもしれない。

でも、お兄ちゃんよりいい男なんてこの世にいるわけないんだ!
あいつにお兄ちゃんより好きな人が現れるわけないんだ!
「ママって本当に何にも分かってないなぁ〜。」って僕は思ってたんだ。

だけど・・・何か変なんだ。
あいつ、休みの日にはおしゃれして「中川武人」とデートに行ってるみたいなんだ!
信じられないけど、「中川武人」の車で夜帰ってきたってことは・・・きっとそうなんだ。お兄ちゃんがあいつとデートなんてしてくれるわけないから、きっと「中川武人」とデートしてきたんだ。
帰ってきた後ママとあいつはこそこそ話をしてたみたいだけど、僕はパパのナイター観戦に付き合ってたから盗み聞きすることが出来なかったんだ。

お兄ちゃんのことを好きじゃないあいつは、僕が知ってるあいつじゃないようで・・・なんだか気に入らない。
お風呂上がりに遭遇したあいつに、僕は思いっきり抗議の意味も込めてあっかんべーをしてやった。(バカ琴子!)

僕の不機嫌が続いていたある夜、あいつがご機嫌でバイト先のクッキーをお土産に持って帰ってきた。
あそこのクッキーは僕の大好物。しょうがなく僕はチビを伴ってママとあいつのお茶会場に参加した。

「もー、入江君ったら私より1枚も2枚もうわてなんですよー!」
あいつがうれしそうにママに報告した。
「あら、お兄ちゃんと何かあったの?」ママが身を乗り出す。
もちろん僕は興味ないふりをしながら聞き耳を立てた。
「私たちの「ヤキモチをやかせる大作戦」、入江君にはすっかりお見通しだったみたいでー。私が心変わりするなんてこれっぽっちも思ってなかったみたいです。」(こいつら、お兄ちゃんにヤキモチ妬かそうとしてたの?)思わずコーヒーを吹き出しそうになった。
「相変わらず可愛くないわねぇ〜」こう言いながらもママは笑ってる。
「どういうわけか、今日学校で武人くんと金ちゃんが喧嘩になっちゃって・・・で、困ってる所に入江君が登場して「琴子が好きなのは俺なんだぜ。ケンカするだけムダじゃない?」って言って、私をその場から連れ去ってくれたんですぅー!そしてそのままファミレスまで一緒に行ったんですー!!」
「まぁ、お兄ちゃんったらステキ!琴子ちゃんを連れ去ったのねぇ〜」
「そーなんですっ!!入江君ってホントかっこいいんですー!」
ママとあいつは手を取り合って喜んでた。

僕はバカらしくなってクッキーとコーヒーカップを持ってソファーに移動した。
「明日からはまたいつも通りあいつをからかってやるか!」僕はチビの頭をなでながらそんなこと考えてた。

やっぱりこれはあいつを浮かれさす出来事だったことには違いないんだ。

つづく裕樹の決心 9
2007.02.20 裕樹の決心 7
5年生になった6月、僕は人生最大のピンチに陥った。

あいつは執念で勝ち取ったお兄ちゃんと同じファミレスでのバイトをし始めたばかりでかなり浮かれてた。
パパとママとアイちゃんおじさんが同級生の結婚式で九州に行っちゃった夜、家には僕とチビとあいつだけが残ってた。
その日僕はなんだか体の調子が良くなかったんだけど、出かけるパパやママに言えないままいたんだ。
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バイトが休みだったあいつが夕飯を作ってくれたんだけど、僕はあんまり食べることができなかったんだ。
あいつの料理が美味しくないこともあるけど、それよりも僕の体が食べ物を受け付けなかったんだ。でも、僕なりに気をつかって頑張って食べたんだ。
その結果・・・。

今まで体験したことのない気持ち悪さと腹痛に襲われて、僕は体を起こすことすらできず部屋で苦しんでたんだ。
あいつがそんな僕を発見してくれなかったら、僕は今頃この世にいなかったかもしれない。(ちょっと大げさか(笑)。)

苦しんでる僕を見つけたあいつはかなり驚いて部屋を飛び出して行った。でも暫くして戻ってきた時はママみたいに頼もしくなってて僕を励ましてくれたんだ。顔は泣いてたけど。
あまりの苦しさによく覚えてないけど、救急車のサイレンの音と、あいつの「大丈夫だよ、大丈夫だよ」という声と僕の頭や顔を撫でる手の温かさだけは覚えてるよ。

その後気を失って、目が覚めたときはあいつとお兄ちゃんが僕のベッドの側で肩を寄せ合って眠ってた。
僕は「回盲部腸重積」という病気で手術を受けてたんだ。
麻酔が完全に覚めてなかった僕は、その様子をみたあとまた眠ってしまったんだ。
次目を覚ました時は、あいつの顔が僕の顔20cmの所にあって驚いて飛び起きそうになったよ!でも、傷口が痛くてすぐベッドに逆戻りだったけど。

「裕樹が気が付いたよっ!裕樹が気が付いた!良かった、本当に良かった!!」あいつはおかまいなしに僕に抱きついてきた。あいつの長い髪が僕の顔をなでで何だか心臓がドキドキした。(僕、心臓も悪くなったの?)
「痛いよ、琴子!」そう言ったぼくのほっぺたにあいつの涙が落ちていた。ぼくがハッとした時、あいつは涙を拭いながら「私、先生に報告して来るね!」と言って部屋を飛び出して行ったんだ。
呆然としてる僕の頭を「裕樹、もう大丈夫だからな」とお兄ちゃんの大きな手が撫でた。
そして僕の耳元でそっと言ったんだ。「お前も頑張ってえらかったけど、あいつの昨日の頑張りもかなりのものだったんだぜ。ちゃんとお礼言っとけよ!」

お兄ちゃんがあいつを褒めるなんて珍しい・・・。お兄ちゃんのことしか頭にないと思ってたあいつが僕のために頑張ってくれたんだ。
あいつにお礼なんてはずかしくて言いたくないけど・・・僕も男だ!タイミングをみてちゃんと言わなきゃなって心の中で思ってた。

僕がそう決心したにも関わらず、あいつが頼もしく見えたのも一転、毎日お見舞いにやってくる度にやらかすドジとおバカぶりに僕は呆れてしまって、お礼を言うタイミングをなかなか掴めなかったんだ。
毎日お見舞いに来たのも、実はお兄ちゃんに会いたい下心でいっぱいだったからなことはバレバレだったし・・・でもまぁ、許してやるか!(僕は心が広いんだ!)
あいつのおかげで入院中も退屈しなかったから。

この入院中に「ノンちゃん」っていうお友達と知り合ったんだけど、その話はまたの機会に。

つづく裕樹の決心 8
2007.02.19 裕樹の決心 6
あいつがここまで変わり果てる原因といったら・・・きっとお兄ちゃんのことに違いないんだ。
だって今までだってあいつを幸せの絶頂に導くのも不幸のどん底につき落とすのも95%お兄ちゃんが影響してたから。(あとの5%は定期的にやってくる試験の結果なんだよ。)

あいつはからかった時の反応の面白さが取り柄なのに、妖怪に変身してからというもの何を言っても反応してくれないし、すぐ自分の部屋にこもるようになっちゃったんだ。
おまけにご飯もあんまり食べてないみたい。お兄ちゃんのバイト先で食べてるならいいんだけど、あの様子じゃ顔出してそうにないし・・・。(あの顔じゃ、出せないよなぁー。)

あいつがいつも通り元気でいてくれないと僕の調子まで狂っちゃうんだ。僕じゃ元通りの元気なあいつに戻せないよ。
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もう1週間以上も妖怪状態から脱出できないまま2Fに上がっていくあいつを横目で見ながら僕はチビに相談したんだ。
「お兄ちゃんに助けてもらおうか?チビ、お兄ちゃんのバイト先まで一緒に行ってくれる?」
と、その時僕宛にお兄ちゃんから電話がかかってきたんだ。
「裕樹、明日チビと一緒に近所の公園まで出てこいよ。たまには一緒にご飯たべようゼ!」って。

やっぱり僕とお兄ちゃんは以心伝心なんだ!お兄ちゃんには僕の気持ちがいつだって通じてるんだってなんだかとってもうれしくなった。
(明日あいつのことお兄ちゃんに報告しなくっちゃ!待ってろ、琴子!)
僕はその夜久しぶりに気分が良かった。

次の日僕とチビは公園で待ってるお兄ちゃんのもとに走って行ったんだ。
久しぶりのお兄ちゃんとの再会にチビもとっても喜んでた。でも僕にはやるべき事がある!
まずはチビを「おまえ またでかくなったなぁ」と撫でてるお兄ちゃんにあいつの話をふった。
「琴子なんてチビに抱きつかれるたびに大絶叫してたよ、お兄ちゃん!」
(うん、これでスムーズにあいつの話にもっていける)
「最近あいつ変なんだ。僕がイジメてやっても反応ないし面白くないんだな。」

「あいつどうしたの?」(よしっ、お兄ちゃんが乗ってきた!)

「さあ、ごはんも食べないしママが心配しちゃってさー。きっとお兄ちゃんに意地悪されたのよってママが怒ってたよ」
(ごはん食べないことも言ったし、あとはお兄ちゃんに任せるしかないな!)
僕の任務は完了だった。だってお兄ちゃんちゃんと僕の話に耳を傾けてくれてたもん。あとは任せたよ、お兄ちゃん。まさかこのままあいつを放っておいたりしないよね。
僕はお兄ちゃんに美味しいハンバーガーをご馳走してもらった。任務を果たしたご褒美さ!。チビがいなかったらもっといいとこに連れってってもらえてたかもしれないけど・・・でも、チビは僕の親友だからハンバーガーで大満足さ!

それから3日ほどしてあいつは小躍りしながら家に戻ってきた。ずっと食べてなかったからやつれたものの、瞳がキラキラして以前のあいつが戻ってきた。
何があったのか僕にはわからないけど、「バレンタイン2日前だ!」って大騒ぎし始めたってことはお兄ちゃんとの間に何か変化があったってことだよね。
散らかったキッチンはチョコレートの甘い匂いが充満して、そして家が賑やかになった。
その様子を庭から眺めながら僕とチビは顔を見合わせて笑ってたんだ。

バレンタインDayの翌日の朝食の席にあいつはいなかった。
なのにママったら心配する素振りもみせずルンルンしてたな。大人って変なの。
僕は少しだけあいつの事が気になったけど、あの時の僕とチビは一面に広がった銀世界の方が魅力的だったんだ。

つづく裕樹の決心 7
2007.02.18 裕樹の決心 5
増築が完成した。ここはぼくんちだったはずなのに、【入江】の表札の下に【相原】って表札が埋め込まれた。
家族でもない人たちと本格的に同居するだなんて、ぼくんちって本当に変わってる家だと思った。
でも、僕だって口で言ってるほどいやじゃないかったんだけど。あいつの部屋が新しくできたから、僕は元の自分の部屋に戻ることができたしね!
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その頃僕たちの家に新しい家族がやってきた。
小さくてコロコロ太ったカワイイ子犬「チビ」。お兄ちゃんが「この犬は小型犬だから大きくならないよ」って言ったから「チビ」って命名されたんだけど、それが犬嫌いのあいつをからかうための嘘だったってわかるまで数ヶ月もかからなかった。
だってチビはあっという間に僕の身長も体重も追い越して、りっぱなセントバーナード犬に成長したんだもん。
お兄ちゃんが言うには「チビは琴子よりも帰巣本能があるんだ!」ってことらしい。あいつなんかよりとーってもお利口な犬なんだ。
今じゃすっかり頼りになる僕の親友なんだけどね。

その年の斗南大の学祭から戻ってきたお兄ちゃんとあいつは揃ってケガをして帰ってきた。
どうして2人そろって傷を作って帰ってきたのか僕はとっても不思議だったんだけど、2人がクイズ王&斗南