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2007.03.08 裕樹の決心 22
パパが戻った日の夜、僕は1人リビングに取り残されていた。みんな自分の部屋に戻ってしまったからだ。
パパの退院した日だというのに、どうしてこんなことになったんだろう?
僕はチビと一緒に、TVもつけずに考えあぐねていた。
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僕の淡い期待も空しく、お兄ちゃんはパパも戻って家族全員が揃った席で堂々と沙穂子さんを紹介した。
そしてアイちゃんおじさんとあいつはこの家を出ようっていってる。
確かに、もし沙穂子さんがこの家にやってくるなら、ずっとここに住み続けるというのはあいつにとって拷問と同じだ。そのくらいのことは僕にだってわかる。

この家の門には【相原】っていう表札も埋め込まれているのに・・・。
僕や僕達家族の胸の中にももうあいつの存在がしっかり刻み込まれているのに!。

お兄ちゃんのお見合い事件から、ぼくはあいつのことが気になって気になってしょうがなかった。
いつも様子を伺っては、あいつが元気がなかったり泣いていると「なんとかしなきゃっ!」と焦っていた。

きっとあいつが全てを投げ出してこの家から飛び出してしまうのが怖かったんだ。
あいつのことを失うのが怖いんだ。
ってことは、僕はあいつの事が好きなの?

そして僕は決心した。
お兄ちゃんが完全にあいつを手放した時、そう、本当に婚約をした時僕は行動に出るんだ!

『あと9年待ってて。僕がお兄ちゃんよりすっといい男になっておまえを幸せにするから!。僕が、おまえがお兄ちゃんを想ってた時間よりもっと長くおまえを好きでいるから。だからもう泣かないで。』って。

あいつが僕のこと弟としか見てないことは知っている。
でも、たとえあいつがこの家を出たとしても、3年間繋がっていたあいつとの縁をどうしても切りたくないんだ。お兄ちゃんと僕の縁は何があっても切れることはないけど、あいつとの縁は本当の家族じゃない以上、簡単に切れてしまうから。
だけど・・・簡単に切るなんて僕には耐えられないよっ!。あまりにも多くの時間を一緒に過ごしてしまったから・・・。
だってまだ家に来て2年のチビだってこんなにかけがえのない大切な存在なんだから。
「チビ、僕頑張るよ!」
自分に言い聞かせるようにチビにそう言って、僕も自分の部屋に戻っていった。

翌朝、朝食のテーブルにママの姿はなく、ガウンをはおったままぼーっと庭のベンチに座っていた。
お兄ちゃんが沙穂子さんを家につれてきた事で、ママのトーンは驚くほど低下した。抜け殻と化したママは昨日から何も手に着いてない状態だ。
もうムリにあいつとお兄ちゃんをくっつけようとはしないだろう。そんなパワーは全て喪失したみたいだ。
パパも帰ってくるなりお兄ちゃんが黙ってお見合いしたことを怒ってたけど、正式に沙穂子さんを紹介されたことでもう反対はしないだろう。
でもアイちゃんおじさんの手前とても複雑な心境らしく、【自宅療養】を口実に部屋で寝ている。
いつも仕事で朝の遅いアイちゃんおじさんは、相変わらず朝僕と顔を合わせることはない。

そんな中あいつは何かふっきったのか、いつも通り過ごしている。
今朝は目が腫れていたけど、でもママの代わりに僕の世話をして学校にも出かけた。

この家の中で一番強いのは、唯一今朝も昨日と何も変わりなく僕に接してくれたあいつかもしれない・・・僕はそう思ってた。
だってお兄ちゃんはみんなが起きる前にもう家を出てしまっていたから。

つづく裕樹の決心 23