ブログパーツならStickam! 2007.7.7Stickam更新情報:ムービー追加&ミュージック追加!。ミュージックの並び順にピンときた人はいるかしらぁ〜o(*^▽^*)o!?
最近本当に日が短くなってきたことに気づかされる。
9月の新学期を前に、一足先に僕は再び留学生活に戻る。
毎日病院に通っている間に僕の夏休みは終わりを告げようとしていた。
僕はいつもより早めに家を出て、好美のリハビリの様子を本人に気づかれないようそっと見ていた。
昨日の夜、帰宅した琴子がこう言ったから。
「裕樹君がもうすぐ行っちゃうからかなぁ?。最近好美ちゃんの元気がないの。病院じゃ言えなかったけど、食事も残すし今朝なんて目が腫れてたんだよ!」
「えっ?」
「聞くと、何でもないって答えるんだけどね」
僕には全然心当たりがなかった。だって、今日会った好美はいつもと変わらない態度だったから。
僕はチビをなでる手を止めてソファーに深く腰をかけ直した。
「あなたまだ2年も向こうに行ってなきゃいけないんでしょ。いっそのこと好美ちゃんに休学してもらって一緒に連れて行くっていうのはどうかしら?」
相変わらず恋愛至上主義の入江紀子だ。
「かあさん!僕勉強しにいってるんだゾ。」
そう言ったモノの、確かに僕が向こうに戻る日までもう1週間を切っていた。
気になった僕は好美に内緒で様子をうかがうことにしたんだ。

鴨狩さんと一緒に歩行訓練している好美の顔に笑顔はなかった。ただ淡々とメニューをこなしているという感じだ。
誰に対しても愛想のいい好美にしては表情が硬い気がした。
まぁ、鴨狩さんに向かってニコニコしてる姿見たらきっとムカツクだけなんだけど。
なんせ鴨狩さんはあのお兄ちゃんに初めて『嫉妬』という現象を自覚させた男だから。
男の僕から見ても、キリリとしてるし人当たりもいいし僕達兄弟に不足している熱血感を持っているし・・・正直いい男だとは思う。
なんて余計なことを考えていたら、さっきまでリハビリしていた好美が目の前にいた。
松葉杖ついてうつむいて歩いていたから、僕の胸の辺りに頭からぶつかってきたんだ。

「ごめんなさい、あっ、裕樹君!」
顔を上げた好美は僕の顔を見てうれしそうに笑った。
「よおっ。たまにはお前の頑張り見てみようかと思ってきてみたんだけど、リハビリもう終わったの?。」
「うん、終わったとこ。あっ、そうだ!。お昼ご飯まだでしょ?。今日は天気がいいから売店でおにぎりとお茶買って中庭でお昼食べようよ。もう病院食飽きちゃった!」
そう言って僕の腕を両手で掴んで甘えるようにニッコリ笑っている好美と僕に、丁度リハビリ室から出てきた鴨狩さんが声をかけた。
「どーして入江兄弟はこんなに相手に愛されるんだろーなぁ?。今日初の好美ちゃんの笑顔見たよ。入江兄弟に愛されてる女子は本人達と一緒にいる時本当に幸せそうな顔するんだよなぁ〜。」
確かにお兄ちゃんにまとわりついてる時の琴子はいつも飛びきりうれしそうだし、好美だって現にこうだし・・・。その逆もまたしかりで僕達も好美や琴子の前だけみせる顔があるはずなんだけど。
「彼女たちだけにわかる魅力があるんでしょ」
僕は好美の頭を撫でながらそう言った。
「そーなんだろうなっ。といっても入江兄弟は他の女性にも人気なんだけど・・・本人達は我感せずってところがスゴイよなぁ」
「そう、すごいんです」
僕の代わりに好美が返事をした。
「弟チームは現代っ子らしくオープンなんだな(笑)。好美ちゃん、明日は僕にも少し笑顔見せてくれよなっ!」
そう言って、鴨狩さんは僕の肩を軽く2回叩いて行ってしまった。
「お腹すいた〜、行こう裕樹君!」
僕達も売店へと急いだ。

「好美、暑くない?」
日陰にいるものの8月の太陽はやっぱり強烈だ。ただ座っているだけでも汗がにじんでくる。
「暑いけどここにいたいの。今年の夏は、空より天上見てる時間の方が長かったから」
そう言って好美は青い空を仰いだ。
僕は空を見上げてる好美を自分の方に引き寄せて頭を肩にもたれかけさせた。
「裕樹君、私とひっついてると暑いでしょ?」
そう言って離れようとする好美を、僕はもう一度引き寄せた。
「暑いけどこうしてたいんだ。今年の夏はあんまりこうしてられなかったから」
もう好美が離れようとすることはなかった。
どのくらい時間が経っただろう?。僕達は特に何か話すわけでもなく、ただ一緒に座っていた。
時折吹く秋の気配を感じさせる気温よりも涼しい風が心地よかった。

「好美、今おまえが何考えてるかあててみようか?」
突然口を開いた僕の顔を驚いたような表情で見ている好美に僕は話し続けた。
「せっかく1年ぶりに帰ってきたのに、毎日病院に通わしちゃうし、ぜんぜん楽しい思い出も作れないまんま裕樹君はもう帰っちゃうんだ・・・って今の現状嘆いてるんだろ」
「えっ?。ど、どうして・・・」
「何年お前の彼氏やってると思ってるんだよ。そのくらいのことわかるよ」
僕は面白いくらいに動揺している好美の鼻をつまんだ。

「そーだな。20歳の夏の思い出作ろうか?」
「ほんと?これから?」
好美の瞳がキラキラ輝きだした。
「ほんと。よし、好美にも係りを分担してやるよ。おまえはてるてる坊主つくって決行日が晴れになるよう祈る係りだ」
「それが係り?」
「かなり責任重大だぞ!。っとその前に担当医にいろいろ許可とらないとな。ほら行くゾ、乗れよ」
僕はしゃがんで背中を好美に向けた。
「えっ、だって、その〜、重いよ。私」
戸惑ってる好美の腕をとって、有無を言わせず背中に乗せた。心地良い温もりと重さが僕の背中から伝わってきた。
「病院食本当はうまいんだろ(笑)。鴨狩さんに言ってリハビリメニュー増やしてもらえよっ」
「だから重いって言ったでしょっ!!。降ろしてっ!!」と好美は必死で降りようと抵抗したけど、僕はおかまいなしに歩き続けた。

「ったくあんたたち2人はほんとにいろいろ見せつけてくれるわねぇ〜。病院の気温がますます上がるじゃないのっ!」
病院の廊下を好美を背負って歩いてると桔梗が声をかけてきた。
「あっ、そうだ。桔梗さん、お兄ちゃんは?」
「入江先生ならさっき食堂で琴子につかまってたわよ。あっ、それから好美ちゃんのお母さんがいらしてて病室で待ってるわよ。」
「よしっ、これで一気に話を進められるな。さんきゅー、桔梗さんっ」
「あら、今日はやけに素直じゃない」
僕は好美を病室に届けて、そして好美のお母さんに挨拶してから食堂へと急いだ。

「どーしたの?息切らして。好美ちゃんに何かあった?」
昼食を食べてるお兄ちゃんの横に陣取って、何か一生懸命話しかけてた琴子が僕に気づいて顔を上げた。
「ねぇ、入江先生。そろそろ好美の外泊ってOKにならないの?」
そう言いながら僕は2人の前の席に座った。
「外泊?。そーだな。実は好美ちゃんからお前が帰る日の外出許可をくれって申請があってそれは許可したんだけど」
そう言うと、病院ではいつもcoolなお兄ちゃんがナゼか笑い出した。
「な、何?」
「いや、お前らって本当の姉弟みたいだなって思って。だって今琴子もお前と全く同じ事俺に言ってきてたから」
僕は琴子の顔を見て愛想笑いをしておいた。
「で、外泊は?。」
「1泊くらいならいいだろ。何か予定でもあるのか?」
「明日は急すぎるから、あさって外泊させてね。今ちょうど好美のお母さんが来てるから手続きしてくれるよう頼んでくるよ!」
「早く裕樹君が好美ちゃんの保護者になっちゃえば話し早いのにね」
琴子がニヤニヤしながらそう言った。
「ったく誰だよ、この世話焼きナースの保護者はっ!?ほっとくと入江紀子さんみたいになっちゃうゾ!」
「保護者?ああ、その肩書きのせいで確か2回も警察に頭を下げたっけ?。」
お兄ちゃんは水を飲みながら琴子を横目で見た。
「あっ、触れちゃいけない過去なのにっ!!。でも私が教生だったおかげで裕樹君の今の幸せがあるといっても過言ではないんだからねっ!!」
「感謝してるよ、お義姉さんっ!」
僕はテーブルに身を乗り出して琴子のナースキャップを両手で整えてあげた。
「お、お義姉さん?。なんて良い響きなの〜」
と、普段聞き慣れない呼び名にうっとりしてる琴子を見て笑っていたら、お兄ちゃんの声がそれを邪魔した。
「おいっ、好美ちゃんのお母さん来てるんじゃないのか?」

「あっ、そうだった!じゃ、僕行くよ。又後でね」
僕は急いでその場を離れた。
きっと鈍感琴子は気づいてないんだろうな。お兄ちゃんが、弟の僕でさえ琴子に触れることを嫌がることを!。

To be continued創作・裕樹編 -It started with a kiss 19−

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